白線に立つ野球少年
- 糸魚川
- 2019年5月3日
- 読了時間: 2分
更新日:2023年3月15日
ただいま戻りました。
現在、ミョーな心持です。
……ちょっと聞いてくれませんか。
目撃談です。
最寄り駅から自宅まで歩いている途中のことでした。
その光景の全貌を納得した瞬間――
僕の心の内訳は、
やるせなさ30%
内省30%
暖かみ30%
と、なりました。
果たして何があったのか、
これから視覚的に説明していきます。
今日は大手町駅へ教科書を買いに出かけたんです。
目的地は、東京駅の斜向いにある丸の内オアゾ。
そこにビルインしてる丸善。ここには大抵の書物がピカピカで置いてあります。
アメコミから図書館学まで。なんでも。
なぜ「東京駅」近くにあるビルへ行くため「大手町駅」に出かけたのか説明すると、定期券の問題です。どうしても千代田線を使いたかった。財布がオケラ(¥151)なんです。だからチケット予約して下さい残席少なくなってますはいこれ https://www.quartet-online.net/ticket/weekend256
とにかく外出してました。
その帰路のことです。
視界の先で、道路の中央に人影が立っていました。
横断歩道のないところを無理矢理渡っているのかな。
そう思いましたが、人影は微塵も動きません。
明らかに様子がおかしい。
さらに歩み寄っていけば、人影の細部が浮き彫りになっていきました。
白い帽子。
額部分にはアルファベットのようなマークが打たれている。
日焼けした顔。
背丈はないもののゴツゴツした体躯。
土汚れのひどいユニフォーム。
――なるほど野球少年です。
野球少年が、車線境界線の真上で突っ立っているのです。
幸いなことに交通量は少なく、時折バイクや車が迷惑そうに避けていくのみでした。
「うわ」と思いました。
度胸比べか、いたずらか。中学生の陽キャもバカなことをする。
近くには、スマホを操作する友人の姿も。インスタにあげるのか。
何が楽しいんだろあんなことして。
他人の迷惑を考えないのかな。
周囲の通行人もそんな気分だったでしょう。
そして、僕はさらに歩み寄っていき、ついにはすれ違いました。
瞬間、真相を目撃します。
野球少年の足元には一匹の獣がいました。
猫。
アジの開きみたいな猫。
半目で、うつ伏せのまま微塵も動かない。
毛色がアスファルトと同化していて、遠目からでは気がつかない。
野球少年は、迫りくる四輪車から死体を守っていたのです。
……その後、警察の人が大きなビニール袋を持って現れました。インスタではなく110番だったんですね。
ミクロな視点とマクロな視点。
人の印象ってそんなもんですかね。
悲劇か喜劇か、みたいな。
演劇もなんとなく頑張ろう、という残り10%を持って、
明日も稽古に行ってきます。
松見坂【@dougen176】
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